この本は、歴史を知る「楽しみ」の入口となる一冊です。
2006年、日本中の高校で地理歴史科の未履修問題が発覚しました。大人たちが歴史教科書の内容や「美しい国」を語っているその足下で、歴史・古典を知り、楽しむための土台がボロボロになっていたのです。これは教育現場だけの問題なのでしょうか。大人の側は、歴史・古典というものは、心を豊かにしてくれる「楽しいもの」なのだということを、若者たちに伝えてきたのでしょうか。
本書第三章で中国文学者の守屋洋さんが、中国古典が日本で読みつがれてきた歴史に触れ、こう書かれています。
「この流れは、昭和の時代までは細々ながら続いてきたのだが、平成にはいる頃からピタッと止まってしまった。二つくらい原因をあげることができるかもしれない。
一つは、時あたかもバブルがはじけて企業人が自信を失い、もっぱらアメリカ流の経営手法に目がいってしまったこと。もう一つは、この頃、中国古典に比較的なじみのある世代が続々と企業の第一線から退いていったことである」
そして、守屋さんはこう続けます。
「ところがここに来てまた流れが変わり、中国古典が再認識され、見直しの気運が生じているのだという」
そのような時代の節目だからこそ、プレジデント編集部ではあらためて歴史・古典の楽しさを伝える本をお届けしたいと考えました。
第一章では、作家の城山三郎さんがその作品で描いてきたリーダー像を語り、トップ経営者が歴史・古典の愛読書を語ります。第二章では、現代に匹敵する激動の時代「幕末」を知るためのヒントを、第三章では、歴史と中国古典を楽しむためのブックガイドをお届けします。そして、巻末特別付録として歴史上の名著や偉人、名経営者のことばを集めた金言集を収録しました。
なお本書では、これから歴史を楽しむ読者の皆さまの便を考え、雑誌掲載時よりも詳しくふりがなを振りました。また、記事末尾には現在、書店の店頭で最も入手しやすいと思われる文献一覧を掲載しました。歴史を楽しむために、本書が「次なる一冊」への道案内役を果たせれば幸いです。
プレジデント編集部
(──本書「はじめに」)














