洋菓子の経営学

洋菓子の経営学
[著]森元伸枝
価格:1,500円(税込)

はじめに

 昨今、関西経済は閉塞状態となっている。大阪府の人口流出は深刻である。神戸市の社会増加率はかろうじて微増しているが、震災年とその翌年を除き最低であ る(*1)。一方、東京の人口は2000年以降、年間およそ10万人ずつ増加している(*2)。すべての情報が東京に集まり、東京中心の経済システムと なっているからであろう。そのため、これまで関西に在住していた産業界の重鎮たちも、東京中心の生活、あるいは東京移住が多くなっている。重鎮の移動で、 役員たちも移動する。関西中心に動いていた産業が次々と関東へ移っているのである。

 しかし、関西にも小規模ながら、安定した業績を挙げて頑張っている産業がまだまだ数多くある。例えば、京都といえば西陣織がある。大阪には貝ボタンや魔 法瓶がある。東大阪に金型、堺に刃物、八尾にブラシ、河内長野には爪楊枝がある。奈良にはグローブ・ミット、墨。神戸にも靴やアパレルなどがある。そうし た数々の産業の中でも注目すべきものが神戸の洋菓子産業である。

 神戸の洋菓子産業は、震災により深刻な被害を受けながらも、今では震災前の水準を超えている。神戸の地場産業売上高推移(*3)を見ると、1992年か ら2007年にかけて、年商10億円以上の洋菓子関連企業の売上高は、上図の通りである。震災前の1992年に1678億円あった売上高は、震災後一時、 1556億円まで落ち込む。しかし、2002年からは5年連続で右肩上がりを続け、2007年には1684億円に達しているのだ。
 神戸の洋菓子産業には、関西経済の閉塞から脱却できる仕組みがあるのではないかと著者は見ている。

*1:「神戸市統計報告 平成19年人口の自然動態及び社会動態」
http://www.city.kobe.lg.jp/information/data/statistics/toukei/jinkou/jinkouugoki.html

*2:「東京都統計年鑑平成18年人口推移」
http://www.toukei.metro.tokyo.jp/tnenkan/2006/tn06qa020100.xls

*3:財団法人神戸ファッション協会「神戸ファッション産業規模調査(平成17年度版)」(財団法人神戸ファッション協会、2006)。

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