誰も好んで、どん底に落ちたくはない。
フリーのライターとして私は長年、社会から「見捨てられた」多くの人に会い、耳を傾け、雑誌に寄稿してきた。
はじめて出会った「ワーキングプア」の若者は、貧困でどこにも居場所がなく、2年近くネットカフェで寝泊まりしていた。幼い子どもを二人抱え、必死で働いたが、勤務中に倒れて亡くなったのは、まだ30代の若い母親だった。
「飽食ニッポン」で何が起きているのか。さまざまな職種で働く人たちの声を聞いて歩いた。そこで気がついたことがある。
・国家資格を持っていても、高収入を得られるとは限らない。
・平均年収550万円を得ながら、心労からうつを発症し、“壊れていく”人たちが多い職種がある。
・低賃金だが、仕事にやりがいを感じて働くという人は少なくない。
・汗水たらして働いても、本当に貧困から抜け出せない人がいる。
私たちは「他人の給料」について、知らない。どのような仕事をし、どの程度の収入を得ているのかを、実は知らない。知らずに「弁護士は高給取りだろう」 と羨んでみたり、「フリーターの若者は自己責任を果たしていない」と断じてみたりする。だが、同じ理屈で、あなた自身の仕事と給料も、人に勝手に語られて いることになる。
そもそも、仕事の対価として受け取る賃金は、職種によってどれくらい違うのか。
本書は、さまざまな職場で働く人たちの待遇や稼ぎを明らかにしたルポである。まず、129+1職種の年収一覧を読み、そこに登場する「聞いたことはある が、よく知らない仕事」の現場で働く人たちに会い、仕事と給料について語ってもらうことから本書を始めたいと思う。