これが僕たちの人生のバイブル!
レイ・クロックはマクドナルドを世界的チェーンにした人です。一九五四年、五二歳だったレイ・クロックはミルクセーキ用のミキサーを売るために全米を旅していました。そんな彼がロサンゼルス東部のサンバーナーディノで出合ったのがマクドナルド兄弟のハンバーガー・レストランだったのです。 清潔な店内、シンプルなメニュー構成、標準化された調理手順、セルフサービスによる効率化などに感心したクロックはチェーン化したいという望みを抱きます。
それが始まりでした。以後、クロックはマクドナルドを大きくするために事業に取り組み、現在のような全世界的チェーンをつくり上げたのです。五二歳からの遅いスタートでしたが、彼は大きな成功を収めることができました。
私がレイ・クロックと彼の仕事のやり方を知ったのは故郷に戻り、父親のつくった衣料品店で働いている頃でした。中年を過ぎてから起業に挑んだクロックこそアメリカのベンチャー経営者だと感心し、以後、マクドナルドのチェーン化戦略を研究したことを思い出します。
そしてレイ・クロックだけでなく、日本マクドナルド創業者、藤田田さんも私の憧れの経営者です。藤田さんの著作はほとんど読んでいます。後には縁もあり、お目にかかることができました。私は藤田さんからも多くのことを学べたと感謝しています。
この本は単にベンチャー企業家としてのレイ・クロックを追ったものではありません。儲けた金をチャリティに回すことの意義を唱える慈善家としてのレイ・クロック、愛する人のために仕事が手につかなくなってしまう人間レイ・クロックの姿もちゃんと描かれています。ベンチャーとは何か、商売とは何かを知ることができ、またエンタテインメントの評伝としても楽しめる本になっています。
巻末には孫正義さんと私の対談も付けました。なぜなら、私たち二人にとってレイ・クロック伝はバイブルともいえるものですし、ふたりとも藤田田さんを尊敬しているからです。孫さんと語った一時間は、とても刺激的な時間でした。そして貴重なひとときでした。
2007年 冬
柳井正
(本書「はじめに」)
[著] レイ・A・クロック(れい・くろっく)
1902-1984。アメリカ・イリノイ州オークパーク生まれ。高校中退後、ペーパーカップのセールスマン、ピアノマン、マルチミキサーのセールスマンとして働く。1954年、マクドナルド兄弟と出会い、マクドナルドのフランチャイズ権を獲得、全米展開に成功。1984年には世界8000店舗へと拡大した(現在マクドナルドは世界119カ国に約30000店を展開)。後年にレイ・クロック財団を設立。さらにメジャーリーグのサンディエゴ・パドレス獲得など精力的に活動を行った。本書原題“GRINDING IT OUT”はいまも多くのアメリカの学生に読まれ続けている。
[著] ロバート・アンダーソン(ろばーと・あんだーそん)
アメリカ在住のライター、ジャーナリスト。
[監修・構成] 野地秩嘉(のじ・つねよし)
ノンフィクション作家。1957年東京都生まれ。早稲田大学商学部卒業。出版社勤務、美術プロデューサーを経て作家に。『キャンテイ物語』(幻冬舎文庫)『サービスの達人たち』(新潮OH!文庫)など著書多数。『企画書は1行』(光文社新書)がベストセラーに。
[訳] 野崎稚恵(のざき・ちえ)
ノンフィクション・ライター。1967年新潟県生まれ。青山学院大学英米文学科卒業。証券会社のディーラー、トレーダー、雑誌編集者を経てフリーに。経済、金融、経営、営業等をテーマに活動中。














