引退して13年、50代半ば、 まだ投げられる140キロの快速球!「サンデー兆治」の日々是挑戦、夢追い人生続投中!
「週刊朝日」の好評連載を単行本化!
「ストレート140キロ!」 バックスクリーンの球速を示す電光掲示板に「140」の数字が表れた瞬間、私は思わず右手をあげ、ガッツポーズをした。ほとんど同時に、東京ドームにつめかけた多くのファンからも、どよめきと大歓声があがった。
昨年末に行われた、プロ野球マスターズリーグでのことだ。プロ野球ファンの底上げを狙い、往年のプロ野球選手を集め、5チームの総当たり戦で優勝を競うマスターズリーグの試合。先発のマウンドに立った私の投げたストレートが、公約どおり140キロを記録したのだ。2003年、3年目を迎えたマスターズリーグの開幕前、主催者であるテレビ局からのインタビューで「今シーズンの目標は?」と聞かれて、こう答えていた。
「140キロのスピードボールを出せなければ、もう二度と投げません」
(中略)
現役を引退し、14年がたつ。しかし、今でもまだ1日に腹筋と背筋とを300回ずつ、それに手のひらの曲げ伸ばしを1000回以上やっている。というのも、引退してぶくぶく太ってしまう多くの元プロ野球選手を見てきて、かつての栄光にすがって生きるだけの人生は送りたくないとつくづく思ったからだ。締まりのない体で、「オレも昔は名の知れたエースだったんだ」と愚痴を言うような人間にはなりたくない。
現役時代、エースにこだわって投げてきた。しかし、現役を引退したら、元エースという肩書きは通用しなくなる。サラリーマンが定年後に、元部長という肩書きが意味を持たなくなるのと同じことだ。成し遂げてきた仕事については、私も自負心がある。が、それはそれ。かつてどんなに輝いていても、今、元気がないと意味がない。現役を退いても人生の幕が下りたわけではない。常に新しく、前を向いて輝いて生きていくには、気力が充実していなければいけない。「体あっての気力」、そう思って私は、引退したとき、体をきちんと維持しておこうと決意したのだ。
最近、「心の時代」と言われる。いや、言われすぎる。長寿社会になればこそ、もっと体の重要性について考えた方がいいと思う。体と心のバランスがあってはじめて、気力はついてくるからだ。「筋肉痛になってほしい」というのが私から読者の方々へのお願いだ。筋肉痛になったときの、あの爽快感を思い出していただきたい。本書がそんな元気回復への第一歩、心地よい筋肉痛を癒す清涼剤になれば幸いである。
──本書「まえがき」より抜粋
[著] 村田兆治 むらた・ちょうじ
1949(昭和24)年、広島県生まれ。68年、東京オリオンズ(後にロッテ・オリオンズ、現・千葉ロッテマリーンズ)に入団後、23年間、40歳で現役引退するまでロッテで活躍。全身を使って投げる独特なフォームは「まさかり投法」の異名をとる。その間、ヒジの故障による2年半の空白から奇跡的にカムバック。登板日が日曜日になることが多く、「サンデー兆治」と呼ばれる。215勝177敗。引退後、福岡ダイエーホークスの投手コーチを務め、現在は野球評論家として活躍。少年野球の指導にも力を注いでいる。














