星野仙一 炎の監督術
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ISBN
978-4-8334-1778-5
判型
四六判/上製
初版日
2003年3月31日
本文頁数
272頁

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商品説明と目次

「泣くときには泣け、笑うときには笑え!」 喜怒哀楽のリーダー学、男気の人間経営、――その発想と全行動を徹底分析!!

 星野仙一が中日ドラゴンズの監督を務めていた頃の話である。コーチ陣が遠征先などで、「まあ、一杯」と杯を傾けるときがある。そんなとき、監督のいないところで決まって歌われたのが、「浪花恋しぐれ」の替え歌である。
「♪星野のためなら女房も泣かす、それがどうした、文句があるか……」。
 単身赴任で、いわば母子家庭状態のコーチの留守宅に、時折、花などが手紙を添えて届けられていた。監督・星野からである。テレビ画面で見せる怒りの闘将、乱闘騒ぎの主人公からはうかがいしれない、別の顔である。
 星野に殴りまくられた中日の正捕手、1億円プレーヤーの中村武志が、「なぜ阪神に呼んでくれないのか」と星野を慕い続けたのも不思議である。ドラゴンズ 時代の後援会「仙友会」には、有力財界人250人がキラ星のように居並んだ。また、2年目を迎えた今年の阪神タイガースでは、星野のひと声で、伊良部秀輝をはじめ、元巨人のエース・西本聖、広島の元監督・達川光男など、曲者たちが続々と馳せ参じる。
 星野の「ジジ殺し」という言葉もある。
 なぜか、気難しいことで知られる年長者にかわいがられてきたからだ。古くは明治大学の野球部時代、名物監督で「御大」と呼ばれた島岡吉郎のもとでは、「御大から殴られなかった稀有なキャプテン」として、ひとつの伝説を残している。
 また、日本プロ野球界のドン、川上哲治もいる。ドラフト会議で星野を袖にし、「巨人をやっつけることが命」にした張本人に対し、星野は現役時代の14年間、ひと言も口をきかないまま押しきった。戦闘者としての意地だ。しかし、同じNHKの解説者となってからは、またたく間に親交を深め、川上は星野を、なぜか「仙ちゃん」と呼び、かわいがる。
 この不思議な星野の人間力を縦糸にし、彼の高校時代からの野球界での活躍を横糸として、知られざる闘将の素顔を、本書では追ってみた。
 明治大学のエースとして"法政三羽烏"の一人、22本のホームラン記録を作った天才長距離打者・田淵幸一に果敢に挑み、1本もホームランを打たれないばかりか、32打数5安打、1割5分6厘と押さえ込む。
 また、プロ入りしてからは、あの宿敵、燃える男・長嶋茂雄に真っ向勝負、その結果は、6年間を通じて2割3分4厘。ちなみに、ONを擁し、V9という奇 跡的な記録を打ち立てたプロ野球史上最強チーム、常勝・巨人軍に対し、星野仙一は、5割3分という驚異的な勝率を残している。Bクラス球団の、豪腕でも怪 速球投手でもなかった選手が、である。

 長引く不況もあってか、周囲の顔色をうかがうことが習い性となり、喜怒哀楽を置き忘れたかのような浮かない表情の人が、このところ多い。「強きにすり寄り、弱きをイジメ、拝金主義が跋扈する」冷え冷えとした時代に、強者に敢然と立ち向かい、いまなお熱き血潮をたぎらせ続ける異能の人の物語を、ここで物語ることができれば幸いである。

高田実彦
(──本書「はじめに」)

[著] 高田実彦 たかだ・みつひこ

1935年、長野県生まれ。スポーツジャーナリスト。元東京中日スポーツ総局次長。著書に『野村克也の「人材再生」工場』(プレジデント社)『プロ野球選手その世界』『一億人を退屈させない男・長嶋茂雄』『楽しい話いい話』『学ぶなら長嶋だ!』など。

目次

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I部:炎の原点

星野が"神宮の星"の一人になったその原動力は、甲子園にいけなかった悔しさにある。

入団時からドラゴンズ史上3人目のエースナンバーをつけ、将来の監督候補として嘱望される。

ピッチャーは投げたくてウズウズしているうちは危ない。心のコンディションをつかむことだ。

グラウンドではどんなにヤンチャでもいい。しかしユニホームを脱いでいるときは、よき社会人でいなければいけない。

マウンドに上がってロマンを追い、哀愁を感じ、喜んでまた泣いていた。

星野の対巨人通算成績は35勝31敗。驚異的な勝率だった。

流し打ちはないでしょう。流すんだったらもう勝負しませんよ。

阪神は、しゃにむに勝たなあかん。勝負ごとは決めるところでビシッと決めなくちゃ。

星野の右肘は、巨人のV10阻止の代償のように痛みを深くしていった。

ここで巨人の胴上げを許してしまったのは、このオレなんだ。あの屈辱を二度と味わってたまるか。

オレは誤審の確信があるときしか抗議しないよ。そりゃ、たまには選手に分がなくても加勢にいくことはあるさ。

泣いても笑っても今日が最後だ。どうせ最後なら勝って笑おう。

あのとき我慢したおかげで、同じ立場にいる選手の気持ちが、ようわかるんですわ。

II部:炎を見守る人びと

考えてみれば、オレは、人様によって育てられたようなものだ。人こそオレの財産だ。

「あまりにも不甲斐ない負け方だった。これからパンツ一丁で、みんなでグラウンドの神様におわびする」(島岡吉郎)

「とにかく体を張るんだ。体を張らなきゃ、選手はついてこないぞ」(島岡吉郎)

「明日を考えたとたん、自分の熱は冷め、ファンの熱も冷め、だれも感動させられないんだ」(ニクラウス)

川上さんにはいろいろ学んだよ。聞いてみるとぼくの考え方と似たところが多いんだよ。

III部:炎の挑戦

私が選手にいうことはただ一つ。それは「お前ら覚悟しとけ!」

優秀な職能コーチに99%を任せきる。あとの1%は自分が責任を持つ。

逆の立場になってみてほしい。もし谷沢が監督だったら、あと1年限りの谷沢選手を使うだろうか。

オレはやがてユニホームを脱いで、そして死んでいく。しかしドラゴンズはそのあともずっと続くのだ。

「野球ってのは四番が打たなきゃ、勝つのが難しいスポーツなんだよ」(落合博満)

過去のことは忘れろ。いまに打ちこめ。いまを悔しがれッ!

二軍選手の父母に監督が手紙をしたためるという話は、星野以外に聞いたことがない。

あのカーブを巨人は打てない。絶対にとるぞ。

実績のある選手には、精神的に落ちこまないように配慮してやればいい。しかし遠慮はしないってことだよ。

なにーっ、やることやってから相手に文句をいえ。

「日本一になって、監督の胸で思いきり泣きたい」(郭源治)

それにしても、アイツはカッコよすぎるワイ。

「パパの胴上げ、死ぬ前にもう一度みてみたいな……」

IV部:炎の完全燃焼

選手を陰から導いていくのがコーチだ。いいコーチがいなければ戦いには勝てない。

ずいぶんな干渉じゃないですか。チームのことにいちいち文句つけてほしくありません。

星野中日、開幕11連勝、西鉄ライオンズ以来の日本タイ記録をつくる。

優勝に向けて、勝ちゲームはしっかりと固めていく。それが監督の役割だから。

打てなくてもなお「使ってくれ」と進言してくるコーチの根性がうれしい。

選手は引き留めてくれるかな、という計算をする意味はない。駆け引きはできないよ。

ナゴヤドームではホームランはいらない。野球は足で点をとればいい。

大事な一戦の負けは悔しくて仕方ない。だがそういうときに、星野の優しさといたわりがふっと自然に出てくる。

「タイトルをとれるチャンスはそうあるものではない。われわれには相手のファンを無視しなくちゃいけない瞬間もあるんだよ」

妻の意思、妻の返事、妻の激励、それに2人の娘の意思を受けて大阪へ。

V部:新たなる炎の挑戦

タイガースを強くするためや。阪神ファンに「六甲おろし」をたくさん歌ってもらおう。

タイガースの伝統が失われつつある。伝統を築いた人びとを、タイガースは大事にしていない。

勝つぞ、勝つぞ、優勝だ、優勝だ、といいまくっとった。

ここで止まったらあかんのや。阪神の歴史を変えてやる、そのつもりでやる。

男は黙って勝負するというが、黙っていたらわからん。有言実行のほうがいいに決まっとる。

みんなが1つのボールにまっしぐらに食らいついていっとる。その結晶や!

オレは阪神を強くしたい。お前の力をくれんか。オレと一緒に、巨人をやっつけて優勝しようやないか。

ユニホームを着ているときは、ヤンチャでいいんや。最近はそういうのが少なくなっとる。

やがてくる監督交代のさい、チームにトラブルを起こしたくない。そのために将来展望を示しておく。

1度や2度の失敗ならだれしもある。でも、3度失敗したらおやめいただくしかない。

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